色付きの白衣が出てきた背景

人間にとって「色」が、そのものの印象だけでなく、心身的な面でも何らかの影響を与えているというのをご存知ですか?
近年の研究では、色が体調にまで影響を及ぼすことがあると考えられています。

医療現場の白衣は清潔感があるとの理由から、19世紀末頃から白い色が利用されてきましたが、現在では色付きの白衣も増えてきました。
その理由として、医療現場の側面と患者から見た側面があります。

医療現場で問題視されているのは補色残像です。
補色残像とは、一定時間以上同じ色を見続けることで、反対の色が残像として残る現象のこと。

具体的には血液の赤を見続けた医師の目に反対色の緑や青が見えるようになることを言います。
業務に支障が出ることを抑えるために、カーテンやシーツ、医療従事者の服を青や緑とすることが多くなっています。

患者の側から問題になっているのは、白衣性高血圧です。
患者が白衣を見ることで医療をイメージして緊張し、計測した血圧の数値が高めに出る症状のことを言います。

緊張やストレスによって血管が収縮することで起こる現象で、正確な血圧測定の妨げとなっています。血圧測定以外でも、患者に不安な気持ちを与えることも考えられるため、色付きの医療着が使われるようになってきました。

白い白衣は、見る人の心理状態によっては威圧感を覚えたり、怖いイメージを持つこともあるかもしれません。
そのため、落ち着いた印象の青や女性らしいピンクといった医療着が増えてきました。
こうした色の影響を考えて、白い医療着と色付きの医療着を使い分ける病院は増加傾向にあります。